親の手記

お母さんから由美ちゃん(仮名)へ

ある母親の娘にあてたメッセージです。
娘にメッセージを書きながら、自分自身を見つめました。


おひさしぶり、由美ちゃん

この交換日記なつかしいね。
七年も前に始めてるのに、たった八ページ…。
三日坊主な親子ですね、私たちって。

それにしても、六年生から今まで、由美ちゃんも本当にいろんなことに頑張ってきたんだね。

この間の夜、二人で由美ちゃんの部屋の押し入れを整理した時に出てきた

〝六年生の思い出新聞ヤ作文〟
〝中一のテスト〟
〝中二のオールAのノート〟…。

これらの品々は、由美ちゃんがつらくてもがんばってきた証だね。

お母さんは、これまでも「由美ちゃんはがんばり屋だな」とは思っていたけど、それを当たり前のように感じ、心からほめていたのかどうか…。

でも、こうして改めて由美ちゃんのしてきたことを、ゆっくりと落ちついた気持ちで振り返ってみると、「由美ちゃんはほんとうにすばらしい力を持っているんだな」と思ったよ。

しかも、あの体調の悪さの中で、一生懸命努力して…。
苦しかったね。
つらかったよね。

お母さんは、あなたのつらさや苦しさをどれだけわかってあげられていたのか…。
わかったつもりではいたのだけれど、本当の意味で、由美ちゃんの立場に立って考える余裕はなかったかもしれません。

体調が悪いと学校に行くのもつらい、だけど、学校に行かないのも、ゆっくり休んだ気がしなくてつらいよね。

「学校に行かないから、自分はだめな子なんじゃないか」と、自分を責めたりしていませんか?
そんなことは、絶対にないよ。

学校に行こうが行くまいが、由美ちゃんは由美ちゃん。
何の変わりもありません。

お母さんは、ありのままの由美ちゃんが大好きで、ありのままの由美ちゃんを受け入れたいと思っています。

今は、ゆっくり休ませてあげたい。
お母さんは、由美ちゃんの味方になりたい。

これは、今のお母さんの本当の気持ちです。
たぶん、お父さんも口には出さないけど、同じ気持ちだと思います。

お母さんも、中二くらいから、特に朝起きるのがつらく、やる気がなくなり、落ちこんでばかりの時がありました。
その頃の気持ちをくり返し思い出してみるのですが、やはり自分ががんばっていること、つらいこと、苦しいことを誰かにわかってもらいたかったような気がします。

幸い、お母さんの担任の先生が良い先生で、日記をつけるようアドバイスしてくれ、そのことでお母さんも自分自身を見つめることができたのではないかと思います。

由美ちゃんは、本当によくがんばったよ。
だから、今は、ゆっくり休んで良いんだよ。
がんばりすぎて、疲れきった心と身体を休める時なんだよ。

自分のやりたいことを自由にやって、固くこわばった心を、やさしく少しずつ解きほぐしていってほしいのです。

それは、今、学校よりも家族よりも何よりも大切なことです。

お母さんが思うには、由美ちゃんは、学校の先生やお父さんやお母さんの言うことをよーく聞いて、「良い子」になって、がんばりすぎて、自分自身を見失い、いつか自分がよくわからなくなってしまったんじゃないかと思うの。

だから、由美ちゃんには、今この時間が絶対に必要。
由美ちゃんが目標を見つけ、一歩を踏み出したいと思う時と場所、それがきっと見つかると信じています。

時間は、由美ちゃんが必要なだけかけたらいいと思います。
自分のこれからの生き方にも関わる大切なことなのだから、自分を大切にしていいと思います。
今は、それが必要な時だと思います。

一度っきりの人生だ。
自分らしくなきゃ、意味がない

今の由美ちゃんに

お母さん